自給家族の募集に際し、よく聞かれる質問をこちらのページでまとめておりますので、必要に応じてご覧ください。これ以外のご質問に関しましても、メールまたはFacebookページにてぜひお気軽にお寄せください。
CSAってなに?
CSAは「Community Supported Agriculture」の略称で、アメリカやイタリアで普及しています。日本では「地域支援型農業」と呼ばれることもあります。これは、消費者が生産者に代金を前払いして、定期的に作物を受け取る契約を結ぶ農業のことを言います。1年の前払い契約をした消費者が、生産者から月2回、季節の野菜セットを受け取るなどの例があります。
生産者にとっては、悪天候などで収穫量が例年より減ってしまっても安定的に収入を得ることができ、規格外や売れ残りの農作物を減らすことができます。また、消費者との信頼関係ができ、ニーズが把握しやすくなるなどのメリットもあります。一方、消費者にとっても、地域の新鮮な農作物を手に入れることができ、また生産者の顔が見えるので安心できるなどのメリットがあります。
押井の里は、「特別栽培米」のCSAに取組みます。少し違うのは、生産者と消費者という関係ではなく、押井の里の住民がそうであるように、米を生産し消費する仲間になっていただく「自給家族」になるということです。家族が農の恵みもリスクも共有する自給の取り組みは、究極のCSAとは言えないでしょうか。
どうして「自給」にこだわるの?
押井の里が3000年続いてきたのは、土地に根差した「自給」の営みが続いてきたから。そこに立ち返れば、集落を消滅の危機から守ることができるのではないか。そう考えたことがプロジェクトのきっかけであり、「自給」にこだわる理由です。
人は生きるために食を確保する必要から「自給」をしてきました。人の営みの原点に「自給」はあるのだと思います。食に不安のない暮らしを求めれば、それは「自給」にたどり着くはずです。
そして、「自給」は、お金の損得とは次元の異なる価値観に基づいて存在しうる営みなのだと思います。「自給」を楽しむグループ、「自給家族」を増やすことで、農地を荒廃から守り、山村の集落を消滅の危機から救うことができるのではないでしょうか。
「自給家族」方式は、押井の里のような集落営農組織だけでなく、個別農家でも産地エリアでも応用できます。誰のためになるかをよく考える消費「エシカル消費」、「つながり消費」という消費志向が広がっており、「自給家族」方式を後押しするでしょう。
※「自給家族」は、押井の里の登録商標です。(登録日:2020年12月10日、登録第6327853号)
国全体が「自給家族」になったとき、EUのように農業者戸別所得補償が制度化され、国民が生産者を支え、国の食料自給率を高め、食の安全保障は確かなものになります。そして、世界が「自給家族」になったとき、8億人が飢餓に苦しんでいるにもかかわらず、生産される食糧の3分の1が廃棄されるような愚かな行いは地球上から無くなるのではないでしょうか。少々大袈裟でしょうか。
お米を生産するのって幾ら掛かるの?
お米の生産費は、農林水産省の最新の統計で、全国平均1俵(60kg)15,147円、ただし、経営規模が、0.5ha(5反)未満では24,395円とされています。押井の里の米農家は15戸、平均経営規模は0.3ha(3反)ですから、統計数値を大幅に超えることは容易に想像いただけるでしょう。
そして、統計数値には反映されていない押井の里の特殊事情として、谷地の水田が多く、日照条件から反収が著しく低いことや、原流域ゆえの井水確保の労力、傾斜地にあり法面の草刈りや猪、鹿の獣害対策にかかる時間、経費等数え上げればきりがありません。
押井の里が、それでも米づくりを諦めないのは、受け継がれてきた暮らしの作法であり、損得ではない「自給の営み」だからなのです。
どうして卓上精米機を配るの?
ここ数年、「ごはん」をより美味しくいただくためのこだわり調理家電として話題なのが「精米機」です。
実はお米は水分を13~14%も含む「生鮮食品」。そのため、精米後から米表面の酸化(脂肪酸)はどんどん進み、1週間で味も栄養価も低下。1か月後には、脂肪酸の含有率は1.7倍にもなるそう。酸化した米は味が悪くなるだけでなく、一般的に体に良くないとも言われています。そこで、自宅で食べる直前に精米できる精米機が注目を集めているというわけです。
ごはんを最も美味しく食べるためには「精米後1週間程度」が消費目安だそう。なので、ぬか層で覆われた玄米の状態のまま保存しておけば、米はほとんど酸化しない。つまり、美味しくいただくには、玄米で保存し、炊飯の都度精米するのがベストなのです。
卓上精米機を使って毎日のお米を美味しく食べられる、押井の里流「美味しいお米の炊き方レシピ」を作成しておりますので、ぜひ併せてお読みください。
押井の里では、契約期間総量10俵(600kg)以上の契約者にもれなく組合推奨の卓上精米機をプレゼントします。それは、「自給家族」に「源流米ミネアサヒ」を最も美味しく食べて欲しいから。そして、流通、保管をすべて玄米とすることで、組合の設備投資や作業時間を大幅に削減できるほか、精米費など「自給家族」の経済的負担を減らすことにもなるからです。
押井の里の年中行事ってどんなもの?
春の御鍬社祭礼、秋の風神社祭礼、新明神社大祭など氏子を中心とした祭礼のほか、押井の里では、出身者の帰省や都市住民との交流を意図したイベントが開催されています。8月第2週の土曜日の「天王祭&サマーフェスタ」、11月最終土曜日の「普賢院もみじまつり」です。いずれも会費制で手間をかけず、自分たちがとことん楽しむまつりです。外部の方もお客さん扱いはありません。
コロナ感染症予防のため、計画通りのイベントが開催できない場合があります。詳しくは、押井の里Facebookページなどでご案内します。また、下記以外の年中行事についてはこちらの記事で詳しく書いていますので、よろしければご一読ください。
天王祭&サマーフェスタ
疫病などから村人を守り無病息災を祈願する神事に続き、108本のろうそくを参加者皆んなで点灯します。大バーベキュー大会、流しそうめん、子ども花火が定番。面倒な余興はありません。子供からお年寄りまで村人総出でとことん食べて飲みます。
普賢院もみじまつり
普賢院は、かの鈴木正三(しょうさん)が再建したと言われる天台宗の古刹、無人寺となって久しく、この日午前中かけて境内整備を行います。近年では、都市部からの森林ボランティアやNPOも応援に駆けつけてくれます。正午からがもみじまつり、猪汁、おでん、五平餅が定番。もちろんとことん食べて飲みます。
「自給家族」は共同体の一員です。楽しい時間を共に過ごしませんか。
1俵30,000円って、高くない?
押井の里の「源流米ミネアサヒ」(特別栽培米)は、自給用のお米でスーパーや産直市場の店頭に並ぶことはありません。従って、流通価格というものはありませんが、契約者には栽培経費を負担いただきます。その額は、玄米1俵(60kg)あたり30,000円、10kgあたり5,000円になります。有名ブランド米は、10kgあたり6,000円~7,000円台で普通に流通しています。
安全性や美味しさは競いますが、価格競争には与しません。「源流米ミネアサヒ」を自給すると、1俵当り30,000円の栽培経費がかかりますから、それを負担いただくということです。そして、私たち「自給家族」の努力は、「いかに高く売るか」ではなく「いかに安全で美味しい米を作るか」に向けられます。
日本人が年間に食べる米の量は54kg(約1俵)。安全で美味しいごはんを毎日食べて、年間3万円(1日当たり82円)は高いですか。また、一人当たりの年間食費はおよそ36万円と言われますので、毎日食べる主食のお米が3万円でも、食費全体に占める割合は、わずか8%に過ぎません。
安全で美味しいお米を、将来にわたって確保できる。不安のない幸せな暮らしを送るうえで、大切なことだと思いませんか。
農作業って誰がやってるの?
日本の農業、とりわけ高齢化、過疎化が進む山村地域においては、労働力の確保こそが最大の問題となっています。押井の里のある敷島自治区が2019年7月に行ったアンケートでは、「10年後に農作業ができなくなる」世帯が54.8%にのぼりました。5年前の同調査では42.2%でしたので、12.6ポイントも上昇したことになります。打つ手がなければ、必然的に農地は荒廃し、集落は消滅に向かいます。
敷島自治区は、空き家を活用し移住者を迎え入れる先進地。押井の里の農業労働力は、覚悟を決めてUターンした若者と、農家民宿でつながるIターンの若者を中心に、元気な高齢者がサポートする形で担われています。そのためにも、組合の法人化を進め、労災保険や労働条件など、農作業従事者が、意欲と誇りをもって働けるよう努めています。
ライスセンターには、ラップの楽曲がBGMとして流れ、田んぼでは、大型のトラクターやコンバインを若者たちが自在に操ります。彼らの多くは、複数の仕事のチャンネルを持つ「多業」という生き方。押井の里の理念に共感し、安全で美味しいお米を生産するために、汗を流し、スキルを磨く彼らもまた大切な「自給家族」の一員なのです。
食糧は、スーパーやコンビニで「売っているもの」ではありません。人が存在するために、人が「自給するもの」なのです。「源流米ミネアサヒCSAプロジェクト」がめざす農の営みの姿は、若者の「多業」の柱足り得る安定的で、誇りの持てる仕事にすることです。
押井の里の農業労働力は、今後も、新しい価値観を持った若者たちに担ってもらう考えです。あなたも、押井の里で働いてみたいと思いませんか。門はいつも開いています。
「みんなの蔵」ってなに?
2019年秋にライスセンターを新設しました。同時に、センター内に大型のプレハブ穀物保冷庫(144俵)をクラウドファンディングにより整備しました。ライスセンターで乾燥調製した玄米をそのまま低温貯蔵し、「自給家族」に年中新米の美味しさを届けるためです。
ライスセンターやトラクターなどの農業機械の整備には、県や市から2分の1の補助金がいただけますが、穀物保冷庫は対象外なので、クラウドファンディングで広く支援を集めました。そして、みんなの支援で整備した穀物保冷庫を「みんなの蔵」と名付け、支援者全員のお名前を将来にわたって刻みます。
JAにも玄米の保管サービスがありますが、1俵当りおよそ1,000円(精米費込みで1,746円)の保管料が発生します。「みんなの蔵」の保管料は、みんなの志金で整備した施設なので無料。一括引取りの「自給家族」は、生産費の負担を5%引きとします。「自給家族」には、「みんなの蔵」を活用いただき、頻繁に押井の里へ足を運んでいただき、自然を満喫いただきたいと考えています。
ボランティアって、何するの?
押井の里の「自給家族」は、ここで暮らす住民と同じように、生産者であり消費者です。押井の里の住民が、スーパーで買った方が楽で安い米をなぜ「自給」し続けるのか。それは、先祖から受け継いだ農地を荒らしたくないし、農の営みを諦めたとき集落が消滅してしまうから。……だけではないのです。
自ら汗を流し、収穫し、保存し、食べる一連の「自給」の営みは、人が生きるため為すべきこととして、DNAに刷り込まれているのでしょうか、この上もない安心と喜び、誰が育てたお米より美味しいと感じられる幸せを私たちに与えてくれるのです。この幸せを家族に分かち合いたいから、ボランティアという形での参加の場を用意します。
作業は、田植え後の「田の草取り」が中心になります。除草剤を極限まで減らしますので、この時期の手除草が、美味しいお米づくりの決め手になります。小さい子供からお年寄りまで、誰でも楽しく参加できます。お礼は、たっぷりの自然と田んぼで食べる美味しいおにぎり、そして、押井の里の家族、自給家族同士の和やかな時間の共有でしょうか。お得なレジャー感覚でどうぞ。
コロナ感染症予防のため、人数を制限して行う場合があります。
不作時は減量なの? 悲しい…。
そうですよね。必要な量の米を確保するために家族になったのに、「どうしてくれるんだ!」って思いますよね。でも「自給家族」となって契約いただく方には、どうかこの点をご理解いただきたいのです。
「自給家族方式」(CSA)の肝はここにあります。「自給家族」は、生産者であり消費者です。不作の年は、押井の里の家族も契約家族も等しく「減量」です。負担いただいている生産費は、不作であろうと豊作であろうと同じようにかかっていますので、返金もできません。「自給家族」は、食に不安のない豊かな暮らしを求めて、買うのではなく、自分で安全で美味しい米をつくる家族なんです。
キャベツの豊作で値崩れを防ぐために、収穫もせずに畑に鋤き込む悲しいニュースがしばしば流れます。多少の交付金は出るようですが、丹精込めて育てた農家の気持ちはどんなでしょう。需要と供給で価格が決まる市場原理の中にある農業では止むを得ないのかもしれません。
自給家族の米は市場に出ないので、そもそも需要と供給で変動する価格というものがありません。負担いただく生産費は、大きく変動するものではありません。生産量=供給量ですから、皆んなで素直に豊作を喜び合えます。そして、組合は米づくりのプロ集団です。めったなことで「減量」にはしませんのでご安心ください。
なぜ自給家族を増やしていくの?
「自給家族」は、100家族、5~10年後までに、150家族程度に増やしていく計画です。現役農家のリタイヤで拡大していく遊休農地に見合う「自給家族」が必要であることから、段階的な募集になります。
現在、押井営農組合を構成する25戸の内、米農家は15戸、基幹作業(耕起、代かき、田植え、収穫・乾燥調製)は機械を保有する組合が受託するほか、2018年までは、リタイヤした米農家の遊休農地を組合が保全管理(作付けしない)してきました。
今後、高齢化などに伴う米農家のリタイヤが想定され、受託作業の減少と、遊休農地の保全管理が拡大すれば、組合が経営破綻に陥るのは火を見るより明らかです。それは、とりもなおさず集落の消滅を意味します。
そこで、これまで遊休農地として保全管理してきた田んぼで、「自給家族」を募り、組合直営の米生産を行います。遊休農地の推計や組合の生産能力からおよそ150俵が供給可能であり、当面100家族を募集します。
押井の里の田んぼは約6ha、収穫できるお米の量は、平年で400俵あまりです。押井の里の家族が食べるお米の量は、将来、200俵あまりに減少しますから、200俵の「自給家族」、およそ150家族を段階的に募集するという計画になります。
「自給家族」は、押井の里だけの取組みなの?
「自給家族」は、土地に根差した食と農の営み。農の営みが続く限り集落は存続し、家族に安全な食の確保が保証されるシステムです。
押井の里は、集落を消滅の危機から救うこのシステムを全国に広めたいと考えており、新たに取り組みを開始する地域を全面的に応援しています。
そして、自給家族のネットワークを形成し、自給家族同士の交流や栽培技術の研鑚、災害時などの生産物の融通などそれぞれの自給家族のメリットの最大化に向けた連携を進める考えです。
また、集落の存続と食の安定確保を目的とし、利益を追求する企業経営とは一線を画すこと、農薬・化学肥料を減らした「特別栽培米」、より安全とされる「有機・無農薬米」、「自然栽培米」を供給し、栽培契約料も統一価格とすることなどを申し合わせます。
現在、豊田市の山村地域では、下山地区羽布町の「羽布の里・自給家族」、旭地区「つくばの里・自給家族」、「太田の里・自給家族」などが検討を進めています。