2021.11.02

押井町の植物たち

所在地については、こちらのマップもご参照ください。

おさんぽ地図

おさんぽ地図

※調査・文・写真/中根・賢二

1. 普賢院と里の植物

ツリガネニンジン

ツリガネニンジン

普賢院の門の前には伊熊の杜から湧き出た小さな水の流れがあります。この流れのまわりは、この地で稲作を始めた人々とともにやってきた史前帰化植物と元々山の端に住みついていた野草たちが共存する世界です。

史前帰化植物ではイヌタデ、イボクサ、コメナモミなどが見られ、秋に花を咲かせます。在来種で目をひくのはツリガネニンジン、ヤマホトトギス、ヤマジノホトトギスでしょう。水辺にはトノサマガエルが住み着いてますよ。

2. シュレーゲルアオガエルの谷

シュレーゲルアオガエル

シュレーゲルアオガエル

しっとりとした薄緑色の皮ふ、金色の虹彩に黒い瞳。オランダ人のシュレーゲル博士の名前がついたシュレーゲルアオガエルはとても愛らしい蛙ですね。

ちんちゃん亭から伊熊神社に向かう小径で会えますよ。この谷ぞいの道は日があまりささず湿り気があるので、たくさんの種類の草木を見ることができます。中でもアジサイの仲間は種類が多く、コアジサイ、ヤマアジサイ、イワガラミ、ツルアジサイ、クサアジサイがあり、少しずつずれて花を咲かせます。

3. ハナイカダの崖

ハナイカダ

ハナイカダ

葉っぱの真ん中につぶつぶがたくさんのってますね。よく見ると中から雄しべが伸びているのがわかります。たくさんつぶつぶがのっているのは雄花で雌花は1つだけです。

秋になると黒い実ができます。ハナイカダの花は、ほんとうにふしぎな花ですね。

伊熊神社の社殿に向かう林道の崖では他にもマキノスミレやナルコユリ、ミヤマハコベなどが見られ、林のヘリからハナイカダやヤブムラサキ、ヤマウグイスカグラなどの小木の枝が伸びています。

4. ヤマナラシのヘアピンカーブ

ヤマナラシ

ヤマナラシ

初夏、ヘアピンカーブあたりで空を見上げると、おにぎりのような形をした薄緑色の葉が目に入ります。葉には長い柄があり、風が吹くとサワサワ音をたてます。だから山鳴らしです。ポプラの仲間で、葉の形がよく似ています。

普賢院の裏手からこのカーブにかけてヤマナラシの高木が数本あり、地面には小さな実生木がたくさん生えています。この辺りにはアカシデやイヌシデ、コハウチワカエデなどの樹木があり、新緑の頃に歩くととても気持ちがいいですよ。

5. キジョランの坂道

アサギマダラ

アサギマダラ

伊熊神社のすぐ下の駐車場から社殿にかけて、道ばたではキジョランのつやつやした濃緑色の葉が目につきます。

アサギマダラの幼虫の食草で、蝶たちは秋になるとこの杜にやってきて葉の裏に産卵します。卵からかえった幼虫はここで冬を越し、初夏になると羽化して高原へと向かいます。

アサギマダラの幼虫が食べるのはキジョランやイケマなどガガイモ科の植物だけなので、いつまでもキジョランを大切にしてアサギマダラを迎えたいですね。

6. 社殿とモミの巨木

ミヤマシキミの赤い実

ミヤマシキミの赤い実

伊熊神社の山頂は標高561メートルで、前の広場は蝶の道になっています。夏にはモンキアゲハなどをよく見かけますよ。

拝殿の横にはモミの巨木があり、根元に小さな祠が祭られています。昔は大きなモミがたくさんあったのですが、今では数えるほどしかありません。倒れたモミの年輪を数えると樹齢は300年を超えています。

社殿の周囲にはミヤマシキミ、コショウノキなどの低木が生え、キジョランの実生も見られます。ミヤマシキミは赤い実がきれいですね。

7. 巨木たちの森

モミジガサの花

モミジガサの花

咲きはじめたモミジガサの花の向こうには巨木たちの森が広がっています。アサダ、トチノキ、ケヤキ、シラカシ、ツクバネガシ、ウラジロガシ。冷温帯の落葉樹と暖温帯の常緑樹が同居しています。

皆ずいぶん年老いているので、樹肌だけで種類がわかるのは、アサダとカゴノキぐらいです。アサダの樹皮は縦に裂けて短冊状にはがれます。カゴノキはうろこ状にはがれて鹿子模様です。樹皮で名前がわからない木は双眼鏡で葉の形やつき方を確かめるしかあリません。

8. 鳥居と道祖神

道祖神

道祖神

伊熊から社殿に登る参道には鳥居があり、その横に道祖神が祭られています。

放っておくと草木に埋もれてしまいそうな参道ですが、伊熊の方々が定期的に草刈りをされるので、イヌショウマやクサアジサイ、オトコエシといった草地に咲く花を楽しむことができます。適度な草刈りは山野草にとってとても好ましいことです。

鳥居には南から林道が通じており、その道沿いでヤマアジサイ、オミナエシ、フジカンゾウなどの花が楽しめます。

9. エゾエノキの広場

ヒメウワバミソウの雄花

ヒメウワバミソウの雄花

伊熊から参道への入り口は広場になっていて、エゾエノキの巨木が迎えてくれます。エノキは低地によく生えていますが、エゾエノキは冷温帯に生える木で低山で見るのはまれです。

その脇から西に押井に通じる山道があり、南へは鳥居へと続く小径が通っています。この小径は北向きの斜面で適度な湿り気があり、ヒメウワバミソウ、モミジガサ、ウリノキなどの花を楽しめます。写真はスポットライトを浴びて輝くヒメウワバミソウの雄花です。

10. イノシシ大浴場

ゲンノショウコの花

ゲンノショウコの花

エゾエノキの広場から押井へと抜ける山道は、ヒノキの人工林の中を通るので花を咲かせる草木はあまりありません。でもモミジガサやイヌショウマなどがところどころに顔を出しています。

林道へ抜ける手前右手に水たまりがあり、イノシシが泥浴びをした跡がいつも残っています。

秋になると林道に出たあたりでゲンノショウコの花が咲きます。押井や伊熊に咲くのはたいてい白花ですが、この場所だけはなぜか紅紫色です。

ライタープロフィール

鈴木 辰吉

押井営農組合、代表理事。1953年1月、現住所地に農家の長男として生まれる。豊田市役所に就職し、産業部長、総合企画部長を歴任、60歳で定年退職。 その後、市の機関として都市と山村をつなぐ中間支援機関「おいでん・さんそんセンター」設立、センター長に就任。そして2019年、おいでん・さんそんセンターで得た6年間の知見のすべてを注ぎ「源流米ミネアサヒCSAプロジェクト」を立ち上げる。

「自給家族」について

日本中の山村集落を、消滅の危機から救う為のモデルを創る。キーワードは「自給」と「家族」です。食と農のあり方や、持続可能な社会に関心をお持ちの皆さんが、「自給家族」として支え合う仲間に加わっていただくことで、それは実現できます。

まずはあなたから。次に、あなたの親しいお仲間をお誘いいただいて。押井の里のチャレンジ「源流米ミネアサヒCSAプロジェクト」を応援して下さい。

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